八咫烏シリーズの阿部智里さんの最新作!ってことで、八咫烏シリーズ大好きなので夫が歯医者に町に行くついでに買ってきてもらった。
私の生活圏内に本屋がない悲しさ・・・。
若干ホラーです。夜に読んだら怖くてトイレいけなくなっちゃうような感じ。
それだけ注意してもらって、ネタバレ読書感想文スタートです。
累計100万部突破「八咫烏シリーズ」に続く書下ろし長編小説
著者 阿部智里
発行 NHK出版
初版 2019年1月30日
「お兄ちゃん。あの時のお母さんと、おんなじ顔してる・・・」p.30
現代パートの主人公は女子大学生。
主人公には年の離れた兄がおり、兄と義姉の喧嘩を仲裁できるかと悩んだが姪の切実な目に動かされ義姉と連絡先を交換する。
その夜、義姉から兄が家を出ていったと連絡があった。
兄は主人公が父親と住む実家に帰ってきたが、その憔悴しきった風貌はなくなった母にそっくりだった。
交互にやってくる過去パートは戦後の日本で農家の次男が主人公。
戦争をどうにか生き延び、シベリア抑留を耐え何とか帰国し、最愛の奥さんと目に入れても痛くないほど可愛がっていた娘を残して死ぬわけがないとその死に疑問を抱いた弟はその死の真相を探るべく奔走する。
どーリンクするんやろ?ってゆー2つのパートで構成されております。
八咫烏の1作目の春夏秋冬の視点から話が進むのが好ましかった私としては、阿部さんらしいな~と上々の滑り出しです。
この幻覚がホラーで。乾いた死体の感じや血の匂いがひたひたと迫ってくる感じがする~。
日中子どもがしまじろう見ながらキャッキャ遊ぶ中で読んでも怖かったもん。
この辺りから、単なる病気から呪い?って雰囲気になり『リング・らせん・ループ』三部作のらせんに近い感じになるの?医療系ホラーなの?とワクワクしだす。
戦争を知らない世代なもんでこの辺りは頭を垂れて読むしかなく。
やむにやまれず殺した。
そうしないと自分が死ぬから殺した。
帰りを待つ人が居る部下を守るために殺した。
その場ではその判断が正しいけど、それは心の中で絶対引っかかることであり、武勇伝として語ることで傷を癒す人もいるだろうし、蓋をしてみないことにして生きていくしかない人もいる。
戦争がそもそもなければいいのにとかそんな感想しか出ないし、たぶん大体の人がそうなのになんで戦争は亡くならないんでしょうかね。この辺り『静夏』と雰囲気似てるな~と思う。
自分は、人を殺したのだ、と。p.227
過去パートで自殺した兄は、現代パートで幻覚に悩む兄妹の祖父だったことがわかり、兄妹が見ている幻覚は、祖父が戦時中に殺した一家に対する罪悪感が、トラウマが、遺伝として受け継がれたものらしく、殺した一家の娘と同じ年頃の娘を持ったことがトリガーとなり発現したものらしい。という、「あくまで推測です。」という解決。
え~~もっとあったでしょうよ!着地の仕方!!
お父さんの「呪いで死ぬ訳じゃない。お母さんが自殺したのは、私が支えられず心が折れてしまったからだ」って後悔のあたりとかはぐっと来たけど、兄妹は延々幻覚見て生きていくんだよ?なのに、幻覚が祖父のトラウマって原因が分かったから、自分の子どもを怖がらなくていいことがわかってとりあえずホッと一息。幻覚と付き合いながら家族仲良く暮らしていこう。ってなる兄何?!そしてそれに怒る妹の最終的な納得の仕方!ええんかい、それで!!どうせならもっと後味悪くいこうよ~
中山七里さんとか雫井侑介さんとかの気持ち悪さに比べたらすっごくライトでちょっと物足りない感。なので阿部さんできれば八咫烏シリーズに専念してもらっていいですかね?
阿部さんの魅力は「ない世界をあるかのように描けること」だと思うので、また魅力的なファンタジーの世界をぐぐっと構築してください。
買って読んでみる
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